ホーム > 研究・論文 > 酸化ストレスと健康(その10):携帯電話の安全な使い方② 会員 新札幌恵愛会病院 医師 宮口 勝行

酸化ストレスと健康(その10):携帯電話の安全な使い方② 会員 新札幌恵愛会病院 医師 宮口 勝行

酸化ストレスと健康(その10):携帯電話の安全な使い方② 会員 新札幌恵愛会病院 医師 宮口 勝行

酸化ストレスと健康(その10):携帯電話の安全な使い方②
会員 新札幌恵愛会病院 医師 宮口 勝行
携帯電話で使われる電磁波は、電子レンジで使われるのと同じ高周波=マイクロ波とよばれ熱上昇効果が強いのが特徴ですが、最近では長期間の使用により、痴呆や脳腫瘍を引き起こす可能性が疑われています。携帯電話の使用にあたっては、できるだけ電磁波の影響を減らす工夫が望まれます。まずは、電磁波の影響が少ない機種を選ぶことです。その目安となるのがSAR値。「SAR」とは、「比吸収率(Specific Absorption Rate)」の略で、単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量のことです。この値から、人体がある電波を発する機械から、一定の時間でどのくらいのエネルギーを受けるのかがわかります。
日本では2002年6月から総務省令で携帯電話などの機器に対して「局所SARが2W/kgの許容値を超えないこと」が義務付けられました(アメリカでは1.6W/kg、スウェーデンでは0.8W/kgが許容値です)。2W/kg以下であれば十分な安全基準を満たしているということですが、毎日使う我々からすれば少しでもSAR値の低い機種を選ぶべきです。イギリスでは消費者に選択の自由を与えるため、SAR値を取扱説明書や携帯電話のパッケージに明記するよう指導されています。

 ヨーロッパでは1997年より携帯電話の局所SAR値をメーカーが公表することを義務づけています。そして、テレビの報道番組がメーカー名、製品名とともに局所SAR値を公表したところ、最も局所SAR値が小さい携帯電話が爆発的に売れたそうです。日本では、2002年以降、通信会社がSAR値の公開を開始、ドコモ、au、ソフトバンク各社のホームページでみられるようになりました。ただ、どの機種のSAR値が低いのか比べて見たいのに、一つの画面で一覧できず、機種ごとにクリックしていかなければなりませんので大変不便になっています。
SAR値は機種により大きく異なります。au の例では、最小の機種の値 0.102 (サンヨー W42SA)は、最大の機種の値 1.62(東芝 C5001T)のわずか16分の1になります。今後、携帯電話の購入を予定されている方、特に子供の場合は、SARの小さい機種をお勧めします。全ての機種のSAR値をまとめて一覧表を公表している個人のサイトもありますのでご利用下さい。(http://ktai-denjiha.boo.jp/sar/sar_ichiran.html)。(つづく) 

ページの先頭へ