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「宮崎口蹄疫感染」その後 当協会名誉会長・比嘉照夫名桜大学教授

「宮崎口蹄疫感染」その後 当協会名誉会長・比嘉照夫名桜大学教授


「宮崎口蹄疫感染」その後 
当協会 名誉会長・比嘉照夫名桜大学教授

宮崎県の中央部で猛威をふるった口蹄疫は、他県に飛火することなく急速に治まりましたが、たくさん農家が密集している地域でこのような終息の例はあり得ないほど極めて稀な現象といえます。 なぜならば口蹄疫の感染危険ラインは 1.5km、運が悪いと 3kmでも感染してしまいます。 この目安は畜舎の臭いが拡がっている距離の 3~4倍と考えてよく、宮崎県の場合は畜産農家の大半がこの範囲内に存在しています。このような場合は、発生地の 10km以内の移動禁止と全頭処分(地区の状況によってはワクチンを併用後に処分)が常識になっていますが、今回の宮崎の場合は、かなりの例外が認められています。 まずは、えびの市の例です。えびのEM研究会の松窪さんの要請を受けて、私は、EMによる具体的な口蹄疫対策を提示し、電話でも絶対に心配ない旨を伝えました。なぜならば、えびの市ではすでに 20軒以上もの畜産農家がEMを使っており、その時点から多くの畜産農家がEMを使い始めていたからです。 私は、そのことを山田農水副大臣(対策本部長:当時/現農水大臣)に伝え、えびの市の口蹄疫は絶対に拡がらないので注目して欲しいという旨を伝えました。この情報は社民党の阿部政調会長にも伝わり、お二人は感染拡大が止まったえびの市にわざわざ視察に行かれたのです。 EMの口蹄疫に対する感染防止帯は、口蹄疫と同じで畜舎の臭いが拡がっている距離の 3~4倍ですが、かなり厳しく見ても 500m~1,000mの範囲で感染拡大を防止することが可能だからです。 したがってその地域の全畜産農家がEMを使わなくても 1,000m以内に 1軒の農家がEMを使っていれば感染防止に効果があるということになります。えびの市は私の提案を受け入れ、えびのEM研究会と市が協力し、可能な限りより多くの畜産農家にEMの活用を勧め、かなりの農家の人々がEMを使用してくれました。
えびの市の初動対応も範となるもので、この両者の相乗効果による危機管理は見事という他にありません。山田副大臣も「比嘉先生の言っておられることは自分自身十分に理解しているが、これを専門家に理解させることはなかなか大変」というコメントをいただきました。
その後、大量の埋却処分による二次汚染の懸念や埋却効率の問題や埋却力のウイルス
の飛散防止について、山田副大臣と話し合い、EM研究機構、EM生活、EM研究所と宮崎県のEMボランティアグループ等による口蹄疫対策のEMボランティアを出動させました。
5月30日、新富町の埋却現場にEMを散布しました。散布後、 72時間経過した 6月2日に私は町の担当者と一緒に現場検証を行いました。近隣から苦情があった悪臭はすでにその時点で完全に消失し、噴火のごとく吹き出していたガスや血液の発生も止まり、重機のオペレーターもマスクを外して埋却処分を続けていました。 私はO(オー)リングテストをベースに臭気やハエの状態等を含め、同行した関係者に現場における浄化レベルのチェック法を教示しました。その結果、EMを処理された埋却処分場はその周辺の畑地よりもはるかに波動が高くなり、完全に防止できた状態になっていました。 そのことを対策本部に報告し、これまで行われている埋却方法をEMで更に効率よくするための提案を行うと同時に、他の地域での感染拡大防止にえびの方式を提案しました。それに対し、国の方針は決まっているため、ボランティアならいいですということになり、その後に飛火した地域に対しては、白川さんを中心とする宮崎EMボランティアネットの方々に大変な協力をいただいて、えびの方式を実行しました。 埋却については処分頭数があまりにも多く、EMの実績が明確に現れたことから、後半は私の提案通り実行され、自衛隊にも積極的な協力をいただきました。この方法は従来の 2倍以上の処理が可能であり、瞬く間に口蹄疫の感染拡大はしぼんでしまったのです。 この裏話を知る人は殆どいませんが、自衛隊がEMを散布したとか、感染地域の堆肥を微生物(EM)で処理されたというニュースが流れただけです。今回のえびのの成果は表に現れない危機管理のモデルであり、この話はヨーロッパ No.1のポーランド国立獣医学研究所にも伝えられており、ヨーロッパの今後の口蹄疫対策に役立てたいという返事をもらっています。
いずれにせよ、昨年の 4月に「善循環の輪の集い」がえびの市で開催され、 600人内外の人々がEMに対する情報、特に畜産に関する情報を得ていたことや、えびのEM研究会の積極的な活動や松窪さん達と市の協力関係が功を奏したといえます。 「禍を転じて福となす」は危機管理の基本であり、それができない場合は、「泣きっ面に蜂」ということになります。畜産はもとより日常的にEMを徹底して使うことは、環境や農業や健康の善循環の大基をなすものであり、危機管理の基本でもあります。今回のえびの市での成果は、その目標に向けて大きく前進させる礎になるものと確信しています。同時にえびの市の市長さんをはじめ、今回のEMボランティア出動に協力いただいた皆様に改めて敬意と感謝の意を表します。

宮崎県世話人による現地からの声
宮崎県えびの市えびのEM研究会松窪ミツエ「がんばれ宮崎!」
口蹄疫では、全国の皆様にたくさんのご支援をいただき本当にありがとうございました。お陰様で7月27日をもって、宮崎の口蹄疫非常事態宣言の全面解除がなされました。 5月の下旬に、口蹄疫が発生した本市の状況を、「善循環の輪」に掲載していただいてから2ケ月余りになります。
えびの市の口蹄疫は4例目で撲滅できました。市民が一丸となって防疫対策に取り組んだ証しです。それゆえに、清浄化が確認され、家畜の移動と搬出制限が解除になった時は喜びに涙いたしました。
(いま現在も家畜農家には「進入禁止」の札が下がり、防災無線放送での「口蹄疫侵入防止協力のアナウンス」が響いています。)
目に見えない口蹄疫に脅かされて、心身が疲労困憊しているときに、比嘉照夫先生とU
ネット様には、私どもの恐怖と不安感の訴えに即対応していただきました。比嘉照夫先生の「EMによる口蹄疫対策」のコメントは本市をはじめ、多くの畜産農家の方に伝わりました。Uネット様からは、EM資材が届き畜産農家への力強い支援になりました。
お陰様で、今日に至っては、口コミでEMへの関心が高まり、その手ごたえを感じております。
また、市長やJAの組合長にEM菌の紹介をしました。JAではEM菌を活用した飼育の効果を見るために、畜産農家数件を対象とした試験的取り組みの提案をいただきました。何としても、ここで、ありったけの知恵と今までの実績を生かして、更なる畜産農業を基幹産業とする本市の発展に寄与できる取り組みに努力したいと考えております。研究会員の畜産農家が、安心・安全な資源“善循環型”のEM菌活用のモデル農家として、さらに畜産の発展を導いていかれることを願っています。今回の災害を教訓に、常に危機意識を自己の中に管理することも忘れてはならないと痛感しています。

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